特別講演3「重症虚血肢に対する血管内治療の現状と問題点」

5月27日(土)特別講演3「重症虚血肢に対する血管内治療の現状と問題点」
座長 中村 正人 (東邦大学医療センター大橋病院)
演者 横井 良明 (岸和田徳洲会病院)

下肢閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療(Endovascular therapy: EVT)は近年きわめて盛んになってきた。特に重症虚血肢(critical limb ischemia: CLI)は早期に血行再建が必要とし、合併疾患の多いことを考えるとEVTが第一選択になる。腸骨動脈領域:TASCⅡ(A)-(D)までの広くEVTが行われるようになって。primary stentの概念が定着し、その低い再狭窄率のため原則ステントを用いる。CLIではinflow血流として早期に血行再建することが必須である。ただ、CLIでは基本病変は大腿膝窩動脈や膝窩動脈以下(below the knee arteries: BTK)であり、腸骨動脈の血行再建のみでCLIを完治することはできない。大腿膝窩動脈領域:CLIには浅大腿動脈(superficial femoral artery: SFA)の合併も多い。そのためEVTが施行されるが再狭窄が問題になっている。薬物ステントも従来のステントの成績を越えるものではなかった。このような背景からdrug-coated balloon (DCB)が出現した。通常のバルーンより優れた治療法という位置づけになる。しかしながら跛行にはよいが、CLIでは確実で十分な血流が必要である。したがってステントを植え込まれることも多い。長区間病変ではカバーステントの使用も可能である。膝窩動脈以下の領域:膝窩動脈以下は血管径が3mm以下で遠位部では2mm程度のことも多い。またdiffuse病変で、脛骨動脈全体の拡張が必要になることが多い。EVTの目的は足関節以下まで有効な血流を確保する必要がある。BTKには現在バルーンしかなく、ステントのような確実性のある治療ではない。DCBが大きな変革をもたらすと考えられたが、逆に大切断率がDCB群で高く、治験が中止になった。CLIでは潰瘍の治癒、大切断回避などがエンドポイントであり、跛行と異なる。バルーン単独では早期の再閉塞も多く、EVTの限界もあきらかになってきた。特に糖尿病性腎症による透析例が多く、足関節以下にも病変を合併していることも多い。そのため基本的には血行再建が不可能な症例も存在する。したがって、BTKに対するEVTはおのずから限界がある。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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