パネルディスカッション2-2「SPINACH Registryの役割」

5月26日(金)パネルディスカッション2「サーベイランスを考えよう」
2. SPINACH Registryの役割
座長 半田 宣弘 (医薬品医療機器総合機構)
座長 横井 宏佳 (福岡山王病院 循環器センター)
演者 東  信良 (旭川医科大学 外科学講座 血管外科分野)

重症下肢虚血(CLI)に関する診療指針は、2000年のTASCを皮切りにこれまで欧米主導で行われてきた。一方、我が国の人口構造・疾病構造をみると、糖尿病が国民病と言われて久しい中で、世界で類を見ない超高齢化が進み、糖尿病患者の高齢化・罹病期間の長期化、透析患者の長寿化などにより、超高齢・糖尿病・腎不全の3大特徴を有して欧米諸国とは趣の異なる末梢動脈疾患患者集団が形成され、今後もさらに増加することが予想されており、欧米の診療指針で対応が十分にできない可能性が日常臨床で感じられるようになっている。換言すると、我が国のCLIは、患者多様性や難治性などの点で世界の最先端を走っていると言える。

これまで、欧米のガイドラインでは全く言及されてこなかった「潰瘍完治」という治療目標についても、創傷が発生しやすく治りにくい高齢者、糖尿病、腎不全が多くを占める日本のCLI患者集団において非常に重要な治療アウトカムとして、我が国で研究がさかんに行われるようになっている。

上記のような背景から、「日本独自のエビデンスの確立が急務」「潰瘍治癒を観察した研究が必要」「超高齢・糖尿病・腎不全の3大特徴を有し、潰瘍壊死例の多い日本の患者で、バイパス術と血管内治療がどのように使い分けられるべきかを知りたい」という発想を基に、全国23施設で血管外科と循環器内科がCLI症例を登録するSPINACH studyが2012年1月から開始された。

550例のCLIが登録され、その内訳は、平均年齢73才、糖尿病73%、維持透析53%という患者集団であり、やはり欧米諸国の患者背景とは明らかに異なる集団であった。

3年のfollow upを終えて、いよいよ今年primary endpointが発表される。バイパス手術と血管内治療をどのように使い分けするべきなのかを世に示すとともに、日本におけるCLI患者情報とその予後情報を集積できたことは、今後、予後予測に基づく治療法選択を推し進めるにあたって非常に重要なデータベースを構築できた意義は大きいと考える。

 

 

 

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

第9回日本下肢救済・足病学会学術集会プログラムはこちら

No results found

メニュー