パネルディスカッション6-2「歩行だけが移動手段ではない。多職種連携により自宅退院へ繋げられた1症例」

5月27日(土)パネルディスカッション6「症例提示~どこからリハビリテーション介入? リハビリテーションスタッフはどこを診るべき?どう介入する?他部門は何を求めている?患者はなにがしてほしい?」
2. 歩行だけが移動手段ではない。多職種連携により自宅退院へ繋げられた1症例
座長 菊池 守 (下北沢病院)
座長 石橋 理津子 (新古賀病院)
演者 大山 将平 (敬愛会 中頭病院 )

【症例提示】

 60歳代、男性。腎硬化症による慢性腎不全にて透析歴9年。入院前は、独居であり生活保護を受給。両下腿義足使用し数mは歩行可能であった。既往歴は、慢性腎不全、高血圧、糖尿病性腎症・網膜症、狭心症、慢性膵炎、右白内障手術後。今回、左上腕内シャント不全にて、左鼠径部長期留置型カテーテル留置目的に入院。シャント再造設困難であり、他にカテーテル留置する場所なく、鼠径部の使用が出来なくなれば透析断念となること医師から本人へ説明済み。5年前に両下腿切断施行されており、両断端部に難治性潰瘍あり外来にて治療中であった。入院中に、左下腿潰瘍悪化認め、左大腿切断に至り切断端治癒せず、OPEN創にて治療管理となる。

【左大腿切断後からのPTの関わり】

 右下腿前面に潰瘍あり、義足装着は控えていた。「自宅に帰りたい」という本人の意思を尊重し、主治医より「義足装着して移動動作獲得を」との指示あり。しかし、義足装着することで潰瘍悪化させてしまう恐れあり、PT評価にて義足装着しての動作改善は難しいと判断。主治医へ代替手段での移動動作の獲得を提案し、OTと共同し車椅子への移乗方法の検討・福祉用具・在宅環境の調整を実施した。結果、跳ね上げ式車椅子とトランスファーボードを使用し、自力で義足使用せず移乗可能となりトイレ動作も獲得し自宅退院。退院後は自立支援サービスを用いながらではあるものの独居で暮らしている。

【本症例から学ぶ】

 潰瘍に対し、免荷は必須である。今回右下腿義足を使用した場合、潰瘍悪化・感染などを招き最後の頼みの綱である左鼠径部カテーテルへの影響は出現していたかもしれない。義足を使用せず移動手段を獲得した結果、本人のニードである「自宅退院」へ繋げられたことは大きかったと感じている。これも多職種(Dr、Ns、PT、OT、PO、MSW、訪問看護、ヘルパーなど)との連携があってこその為、改めて連携の重要性を感じた症例であった。
 

 

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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