5月27日(土)パネルディスカッション4「究極の救肢」
1. CABG術直前に腎動脈下大動脈閉塞による重症虚血を解除した症例-術前低侵襲下肢血行再建の意義
座長 松本 拓也 (国際医療福祉大学)
座長 伊東 啓行 (済生会福岡総合病院)
演者 三岡 博 (静岡市立静岡病院)

虚血性心疾患に下肢閉塞性動脈硬化症が合併した場合、CABGのグラフト選択が問題になる。今回我々は、膀胱癌治療を控える患者に対するCABG前に、腎動脈下大動脈閉塞による重症下肢虚血を合併した症例を経験したので報告する。症例は72歳、男性。肉眼的血尿精査で膀胱癌、手術前の精査により無症候ながら低心機能(EF 36%)の冠状動脈3枝病変、右鎖骨下動脈起始部高度狭窄、および腎動脈下大動脈閉塞が指摘され当科に紹介。ABIは右0.26/左0.47でFontaine III度。下肢血行再建を先行した。左上腕動脈と右大腿動脈からアクセスして腎動脈直下から大腿動脈までガイドワイヤーを貫通。大動脈から総腸骨動脈にExcluder脚を留置して、高度狭窄の右外腸骨動脈には8 mmのS.M.A.R.T.ステント留置。右大腿→左大腿動脈間バイパスを8mm ePTFEグラフトで作成。ABIは0.86/0.82に上昇。下肢血行再建の第3病日にCABG (LITA-LAD, Ao-SVG-D-PL1-PL3, Ao-RA-PDA)施行。CABG後EFも44%に回復。CABG後13病日に当科退院。第38病日にTUR-BTが行われた。Leriche症候群ではITAが重要な側副血行路となっている場合が多い。また、上肢動脈に病変がある場合は橈骨動脈の使用が制限される。血行再建には腋窩—大腿動脈などの非解剖学的バイパス、ステント留置方法としては大動脈内に2本のステントを併置する方法、大動脈内ステントをベアステントにするなど別の選択肢が挙げられるが、次の治療までの期間短縮のための低侵襲性、IABPを入れる際の経路の信頼性、術後debrisによる塞栓症の軽減などの観点から、最も妥当と思われた本法を施行した。CABG術前の下肢血行再建は上述のようにグラフトの選択肢を多くするだけでなく、術後の離床促進にも有効であると思われる。

 

 

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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