シンポジウム10-6「マゴットセラピー ~形成外科医の立場から~」

5月27日(土)シンポジウム10「マゴットセラピーの達人たちに聞く マゴットセラピーはこのように使う!(各診療科の立場から)」
6. マゴットセラピー ~形成外科医の立場から~
座長 岡田 匡 (マミ皮フ科クリニック)
座長 三井 秀也 (ツカザキ病院)
演者 西嶌 暁生 (新東京病院)

【諸言】形成外科領域において、組織欠損に対するDonorの選択は多岐に渡ると共に、そのSuccess Rateは上昇している。すなわち、熟練した形成外科医は全身のあらゆる部位からより適切で安全なDonorを選択・拳上できると言える。一方で、組織の生着の為にはRecipient sideの適切なWound Bed Preparation(WBP)が必要不可欠である。特にCritical Limb Ischemia(CLI)患者では治癒過程が障害され十分なWBPが得られないことが多い。今回我々はCLI患者のMaggot Therapyを施行した群において、Conventional Therapyを行った群と比較し、救肢の点で一定の効果が得られたので報告する。

【方法】2014年4月から2016年10月まで当施設において、血行再建後にMidfoot Amputationを行ったCLI患者33人(34患肢)のうち、Maggot群(5肢)とConventional群(29肢)に関して患者記録より後ろ向きに比較検討を行った。Primary Outcomeを術後半年のAmputation Free Survival Rate(AFS)とし、Secondary OutcomeをWound Healing率と歩行機能の獲得率とした。

【結果】Albuminを除くClinical Backgroundに関して有意差は認めなった。Maggot群のAlbuminは3.62 g/dlと有意に高かったが、両群の栄養スコアに有意差は認めなかった。半年後のAFSは80% vs 41%、Wound Healing率は60% vs 24%、(Maggot群 vs Conventional群)であった(p > .05)。歩行機能の獲得率は40% vs 38%とほぼ同等であった。

【考察】本研究では、Maggot群において半年後のAFSとWound Healing率が高い傾向にあった。Maggotによる適切なデブリードマンと肉芽形成により、効果的なWBPが得られ、組織の生着率が上昇したため、大切断を回避できたと考える。これまでCLI症例に対してMaggot Therapyは相対的禁忌とされてきた。しかし、進行したCLI症例では足末梢側まで十分な血行再建を完成させることが困難なことがあり、創部の治癒が遷延化し治療に難渋することがある。また合併する心疾患などの影響でバイパス手術等の侵襲の高い治療が困難なことも多い。その為、Maggot Therapyは一定程度の血行再建がなされている前提であれば、治癒が遷延化した創面のWBPに有効な手段となり得ると考える。一方、歩行機能の獲得率に改善を認めなかった理由として、Maggot Therapyは従来の治療が奏功しなかった症例に適応しているため、治療・臥床期間の長期化に伴うADLの低下等が挙げられた。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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