シンポジウム10-1「マゴットセラピーの適応とその実際」

5月27日(土)シンポジウム10「マゴットセラピーの達人たちに聞く マゴットセラピーはこのように使う!(各診療科の立場から)」
1. マゴットセラピーの適応とその実際
座長 岡田 匡 (マミ皮フ科クリニック)
座長 三井 秀也 (ツカザキ病院)
演者 三井 秀也 (ツカザキ病院)

足壊疽(Gangrene)の治療は、大半の症例で血行再建術、薬物治療、外科的デブリードメンなどが選択され、軽快するのが大半です。しかし、感染の進展が広範囲、あるいは急速で、足全体が潰瘍、蜂窩織炎を発症し、敗血症にいたり命を脅かす場合には、患者にとっても、医療者にとっても“足か命か?”の究極の選択を迫られることとなります。

しかしながら、下肢切断後の患者さんの生命予後、ADL回復が極めて悪く、また切断端の治癒不良も危惧されますので、二次的に生じた足壊疽がもし局所治療により治癒でき、救肢できれば、患者にとっての恩恵は計り知れないものがあります。局所治療として、現在までに抗菌薬剤、局所消毒剤、洗浄剤、創傷被覆材、局所持続陰圧療法等々が数多く考え出され使用されてきましたが、ゴールデンスタンダードはないというのが正直なところです。

海外ではマゴットが、ヒトの壊死組織を食べて、創を清浄とし、良好な肉芽を上げ、潰瘍の改善をもたらす作用を持つことを利用して、マゴットセラピーが医療の現場で使用されております。我々も2004年4月より、この治療を藁をも掴む思いで導入し、試行錯誤ではじめましたが、極めて効果のある症例もあれば、効果が挙げられなかった症例もありました。日本マゴットセラピー研究会では、適応を選べば、マゴットセラピーの良好な結果(救肢)が得られるとのコンセンサスが得られています。しかし、レベルの高いエビデンスはなく、専門家間では使用に関して意見の分かれるところです。

昨年4月から「混合治療」の対象を広げるため「患者申出療養」という制度が始まり、患者がマゴットセラピーを希望された場合、各都道府県にある特定機能病院や、臨床研究中核病院を通じて国に申請され、有効性や安全性が審査され、治療が開始されました。国の評価に耐えうるマゴットセラピーのエビデンスが、今後求められる所以です。

今回、横井宏佳会長の御高断により、シンポジウム”マゴットセラピーの達人に聞く”を企画いただきました。マゴットセラピーの適応、問題点、今後の展望について日々患者さんとともに苦悩されている、参加のすべての職種の皆様と議論を尽くし、横井会長の”救肢にかける熱い想い”に答えたいと思います。

マゴットセラピーが日本の足壊疽の局所治療のStandardの一つとなれば幸いです。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

第9回日本下肢救済・足病学会学術集会プログラムはこちら

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