シンポジウム8-7「自己皮下脂肪由来再生細胞を用いた重症四肢虚血の血管再生療法」

5月27日(土)シンポジウム8「下肢救済・足病と再生医療」
7. 自己皮下脂肪由来再生細胞を用いた重症四肢虚血の血管再生療法
座長 秋田 定伯 (福岡大学医学部)
座長 室原 豊明 (名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
演者 近藤 和久 (名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)

「骨髄単核球細胞移植による血管新生療法」は、従来の治療法では管理困難な重症虚血肢に対する新たな治療戦略のひとつとして広く普及してきたが、治療抵抗性を有する重症例も存在するため、さらなる血管再生療法の開発が続けられてきた。
2001年にZukらにより皮下脂肪組織中に骨髄由来間葉系幹細胞と同様の性質を有する細胞の存在が報告された。
その細胞は脂肪組織由来間葉系幹/前駆細胞、脂肪組織由来再生細胞(adipose-derived regenerative cell; ADRC)などの名称で呼ばれている。
我々は、このADRCのもつ組織再生能力に着目、いくつかの動物疾患モデルを用いてその組織修復能・血管再生効果につき検討し、ADRCがVEGFやSDF-1などの血管新生増殖因子を放出し虚血部血管新生を増強させることを明らかとした。
我々は自己ADRC移植による血管再生療法の臨床導入に向け準備を進め、2012年に厚生労働省「ヒト幹指針」より『ヒト皮下脂肪由来間葉系前駆細胞を用いた重症虚血肢に対する血管新生療法についての研究』に対する厚生労働大臣意見書を得たのち、2013年から名古屋大学医学部附属病院で本臨床研究を開始した。
現在までに8症例(膠原病4症例、バージャー病4症例)に対して本血管再生療法を実施し、施行後の追跡調査を行っている。
いずれの症例も術後有害事象の発生はなく、疼痛の軽減及び潰瘍サイズの縮小または治癒、6分間歩行可能距離の延長を認め、血管造影やレーザードップラー検査においても血流改善を示唆する所見が認められている。
潰瘍治癒不全のため1症例において小切断を要したが、全例とも大切断は免れている。また、ADRC移植後に末梢血中のCD34陽性細胞などの前駆細胞の増加や、血管新生抑制因子として知られているVEGF-A165bの減少などが見られており治療効果との因果関係が示唆されている。
2014年の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(いわゆる再生医療新法)」の施行に伴い、現在本臨床研究は名古屋大学を研究統括機関とした多施設共同研究(8施設)として展開されている。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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