シンポジウム8-4「細胞成長因子徐放効果を持つ新規人工真皮の製品化」

5月27日(土)シンポジウム8「下肢救済・足病と再生医療」
4. 細胞成長因子徐放効果を持つ新規人工真皮の製品化
座長 秋田 定伯 (福岡大学医学部)
座長 室原 豊明 (名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
演者 森本 尚樹 (関西医科大学 形成外科)

二層性人工真皮の問題点として、真皮様組織の形成に時間がかかる、感染しやすい、という点がある。これらを克服するため、線維芽細胞や表皮細胞を播種した「培養皮膚」の開発を行ってきた。自家線維芽細胞を播種培養した自家培養真皮を用いた糖尿病性潰瘍に対する臨床研究では、ある程度の創傷治癒効果は確認したが、作業時間、コスト面でこの治療を発展させることは困難であった。このため、培養皮膚と同等の創傷治癒促進効果を持つ材料として塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF:フィブラストスプレー®)を保持・徐放機能可能な新規人工真皮の開発を行った。新規人工真皮はコラーゲンに酸性ゼラチンを含有させて、10日間程度のbFGF保持作用を付与している。bFGF徐放性能の検討、健常マウス、糖尿病マウス、ラット、白色家兎、ビーグル犬を用いて有効性を確認した後、難治性皮膚潰瘍を対象とした医師主導治験を実施し、当局とも相談を重ね、ようやく製品化の目処が立ち、早ければ平成29年度中の承認を目指している。症例数は少ないが、自家培養真皮(6症例)とbFGF徐放性人工真皮(5症例)の臨床研究での有効性を比較すると、16週後の上皮化率は60%で同等であった。レーザー血流計画像化装置(LDI)を用いた血流の評価(Flux)でも、培養真皮は1週後147.4±29.8(平均±標準偏差)、2週後195.7±72.1であり、bFGF徐放性人工真皮では、1週後102.72±61.1、2週後181.6±79.8と有意差はなく、bFGF徐放性人工真皮は培養真皮と同等の効果があると考えられた。この新規人工真皮は多血小板血漿の主要成分であるPDGF-BB、TGFβも徐放可能であることを確認している。bFGFの含浸は病棟や外来でも実施でき、また持続陰圧療法と併用することも可能であり、新規人工真皮が製品化されれば現状を打破する有用な治療材料になると考えている。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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