シンポジウム8-2「人工真皮+増殖因子+自家培養表皮移植による質的改善を伴う下肢部創傷再生医療」

5月27日(土)シンポジウム8「下肢救済・足病と再生医療」
2. 人工真皮+増殖因子+自家培養表皮移植による質的改善を伴う下肢部創傷再生医療
座長 秋田 定伯 (福岡大学医学部)
座長 室原 豊明 (名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
演者 吉本 浩 (長崎大学形成外科)

骨や腱などの深部組織が露出した下肢の創に対して、皮膚移植による再建では母床の血行が不良なために植皮片の生着が望めず、血行がある局所皮弁あるいは遊離皮弁による再建が必要であった。近年、人工真皮、線維芽細胞増殖因子および持続陰圧療法などの登場により、まず母床を血行が良好な組織に整えてから、その後、植皮で創閉鎖を行うことが可能になってきた。

自家培養表皮シート(ジェイス®)は、患者の皮膚を数㎠採取し、2-3週間培養し、大量の培養表皮シートを作成し、患者に移植する方法で、日本発の再生医療等製品として2009年1月より重症熱傷患者を対象に保険が適応されている。ジェイス®はドナーの犠牲が最小限度で画期的な製品であるが、培養表皮なので真皮構造を含んでおらず、当初、移植成績は症例によりばらつきが多かった。しかし、人工真皮及び線維芽細胞増殖因子で移植母床を整え、高倍率自家メッシュ植皮を併用すると安定した移植成績が得られるようになってきた。

今回、下肢広範囲重症熱傷患者に対して、人工真皮と線維芽細胞増殖因子を用いた移植母床に、自家6倍メッシュ植皮とジェイス®を併用したハイブリット法と自家3倍メッシュ植皮をそれぞれ行い、ジェイス®生着後の色調、メラニン沈着、粘弾性、柔軟性を測定し比較検討した。7名の形成外科専門医によりバンクーバーおよびマンチェスター瘢痕スケールで瘢痕の質的調査を行った。患者は46歳男性と55歳女性の2名でいずれも火炎熱傷を受傷し、熱傷受傷面積は50%と45%であった。ジェイス®をハイブリット法で移植した部位と自家3倍メッシュ植皮を移植した部位では色調や柔軟性など客観的な遜色はなく、瘢痕の質的調査でも遜色はなかった。

人工真皮、線維芽細胞増殖因子および自家培養表皮を組み合わせて使用することにより、ドナーの犠牲を少なくし、質的にも満足のいく下肢部創傷再生医療を行えることが示唆された。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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