シンポジウム8-1「慢性重症下肢虚血に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による血管再生治療」

5月27日(土)シンポジウム8「下肢救済・足病と再生医療」
1. 慢性重症下肢虚血に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による血管再生治療
座長 秋田 定伯 (福岡大学医学部)
座長 室原 豊明 (名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
演者 川本 篤彦 (先端医療振興財団 先端医療センター病院 再生治療ユニット)

血管内皮前駆細胞(EPC)は、虚血・創傷などの病態下で骨髄から末梢血中へ動員され、血行を介して病変部に生着した後、新規血管発生に貢献する。EPCは、骨髄単核球または顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)動員末梢血単核球からCD34陽性細胞として分離可能である。以上の知見を基に、自家骨髄由来CD34 陽性細胞を用いた血管再生治療の臨床試験が狭心症、急性心筋梗塞、拡張型心筋症、脳梗塞、慢性重症下肢虚血(CLI)等を対象に国際的に展開されている。

既存治療抵抗性のCLIに対するG-CSF動員CD34 陽性細胞移植に関しては、2003年に当施設が世界に先駆けて17例の患者を対象に第I/IIa相臨床試験を開始した。下肢虚血所見(足趾/上腕血圧比、経皮的酸素分圧、歩行距離等)の改善、潰瘍サイズの縮小、安静時痛の軽減に伴い、全例で下肢大切断を回避した。CLI離脱率は、細胞移植後経時的に上昇し、1年後で88%の高率であった。細胞移植との関連を否定できない重篤な有害事象は認められなかった。さらに長期成績では、80%以上のCLI離脱、下肢虚血所見の有意な改善が細胞移植の4年後まで持続していた。2008年からは、探索的試験(再生医療領域で本邦初の医師主導治験)を開始した。全11例への細胞治療が安全に施行され、このGCP準拠試験でも先行臨床試験における有効性の成績がほぼ再現された。

上述の成果を踏まえ、当研究グループではG-CSF動員自家CD34陽性細胞を用いた下肢血管再生治療の標準治療化を目指している。改正施行された医薬品医療機器等法に基づき医薬品医療機器総合機構と相談を重ねた結果、本細胞の再生医療等製品としての薬事承認を目指した多施設共同ランダム化比較試験(企業治験)を本年開始する予定である。本発表の際、その試験計画の概要等についても紹介したい。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)
 

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