シンポジウム6-2「重症虚血肢に対する膝下切断術を再考する」

5月27日(土)シンポジウム6「第4回糖尿病足病変手術研究会シンポジウム」
2. 重症虚血肢に対する膝下切断術を再考する
座長 早稲田 明生 (荻窪病院)
演者 木村 浩彰 (広島大学病院)
演者 寺部 雄太 (東京西徳洲会病院)

下肢血行障害の最終段階として人口10万人当り年間20〜80人の下肢切断が発生する。アメリカの新規切断は年間19万人以上(血行障害54%、外傷45%、腫瘍2%)で、医療費は83億$(2009年)に達する。また、下肢切断者に対する義足や生活支援にかかる社会保障費も膨大であり、下肢切断は先進国の社会問題である。
下肢切断部位の決定因子として経皮的酸素分圧tcPO2や皮膚潅流圧(Skin perfusion pressure)が挙げられるが、議論がある。国際義肢装具学会は、術中の組織出血を決定因子としている。つまり、術前に下肢切断部位を決めるエビデンスは無い。
壊疽が1つの足指に限局している場合、足指切断が勧められる。壊疽が他の足指に拡大すると、中足骨切断またはLisfranc離断を検討する。壊疽がMP関節中枢へ拡大すると、断端を健常な皮膚で被覆できず、創治癒の遅延や適切な断端が得られない。Charcot離断は、断端面積が広く軟部組織も乏しいので、断端の創治癒遷延や術後尖足変形を生じる。Syme切断は、断端荷重できるけれども、脚長差のため不安定歩行となり、義足機能も制限される。したがって、中足骨切断またはLsfranc離断が難しければ、下腿切断を検討すべきである。
 一般に下肢血行障害は循環器科や皮膚科、形成外科で治療される。整形外科は下肢切断に関わりたくないので、主治医が下肢切断を強いられる。下肢切断者の歩行能力は年齢と膝関節の有無による。若年者で膝関節が温存されれば歩行が期待できるが、高齢で膝関節より中枢で切断(大腿切断)されると約5〜10%しか歩行できない。また、下腿切断の20%程度は再手術を要するので、DPCを算定する急性期病院は医療経済的な見地から、下腿切断よりも大腿切断を選択する危険性がある。下肢切断者の歩行を担保するためには、切断部位だけでなく、断端訓練や義足の選択と装着、歩行訓練など術後のリハビリテーションが重要である。足の重症化予防で行われる包括的治療が、下肢切断にも望まれる。

 
※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)
 
 

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