シンポジウム3-1「静脈は流れるー下肢静脈疾患の基礎とその歴史」

5月26日(金)シンポジウム3「下肢静脈の世界 -このシンポを聞けばすべて分かります-」
1. 静脈は流れるー下肢静脈疾患の基礎とその歴史
座長 星野 俊一 (福島第一病院)
演者 孟 真 (横浜南共済病院)

静脈血はゆっくり流れる。そして静脈の学問の世界もゆっくりと進歩してきた。しかしこの20年、静脈学の世界はまるで濁流のごとく流れ変容している。

静脈疾患の歴史は古代ギリシャにさかのぼり、下肢静脈瘤に苦しむ患者と圧迫療法の原型の石像が残されている。基礎治療である圧迫療法、弾性ストッキングの原型は革製の下肢の圧迫帯、、グッドイアーの合成ゴムを使用した弾性ストッキングから現在のストッキングへとつながってゆく。

難治性下腿潰瘍の原因となる下肢静脈瘤の手術のはじまりは1890年Trendelenburgにより、最近まで主流だった下肢静脈瘤ストリッピング手術の原型が発表されたのは1907年であった。硬化療法はヨーロッパを中心に独自の発展をし、我が国で行なわれたのは1990年代初頭であった。結局、硬化療法は根治性でストリッピング手術にかなわず数年で退場したが、低侵襲治療への向かう灯は消えず、局所膨潤麻酔を利用した局所麻酔下のストリッピング手術、2011年からは現在の主流であるレーザーや高周波での血管内焼灼術へとつながる。硬化療法も硬化剤を泡状にして効力を増し再登場し、海外では生体接着剤での治療が始まっている。

もうひとつ下腿潰瘍の大きな原因である血栓症後症候群の原因となる深部静脈血栓症の治療は、基本治療である未分画ヘパリン注射薬と経口ビタミンK阻害薬の組み合わせによる抗凝固療法は1960年代に確立した。海外では低分子ヘパリンの登場はあったものの我が国では2011年の抗Ⅹa注射抗凝固薬の登場、2014年の抗Xa経口抗凝固薬の登場まで新規の治療薬は現れなかった。2016年にはさらに2剤が追加され治療の簡便化、出血合併症の軽減、早期治療の質の向上での血栓症後症侯群の減少が期待される。

大きく流れる静脈学の奔流に中でも乱れることなく診療を続けたい。

 
※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)
 
 

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