5月26日(金)シンポジウム2「下肢リンパ浮腫の病態と治療」
4. リンパ浮腫の看護ケア
座長 前川 二郎 (横浜市立大学 形成外科)
座長 上村 哲司 (佐賀大学医学部 形成外科)
演者 作田 裕美 (大阪市立大学 大学院 看護学研究科)

がん術後リンパ浮腫は,未だ完治に至る治療法はなく,第一選択肢は「スキンケア,圧迫療法,圧迫下での運動療法,リンパドレナージ,日常生活指導」で構成される複合的治療とされる。放置しても生命に関わる事態に直結しないとはいえ,ひとたび罹患すれば患者は,生涯にわたる複合的治療の継続によって,悪化を予防し症状コントロールに努めなければならない。

リンパ浮腫患者は,倦怠感,痛み,皮膚の乾燥といった身体症状はもとより,がんの再発の恐怖,外見の変化による自尊感情の低下,抑うつ,対人関係の変化(引きこもり傾向),日常生活範囲の狭小化,職業継続の困難や減収等,心理・社会的に多様な問題を抱え,QOLの低下を経験している。

チーム医療の理念が浸透した現代では,リンパ浮腫の治療管理も患者を中心とした医療チームの連携と協働によって提供される。この中で発揮する看護の専門性を端的に表現すると,「看護とは実在または潜在する健康問題に対する人間の反応を診断し治療すること」(American Nurses Associationによる看護の定義)であり,看護が関心を寄せなければならないのは,リンパ浮腫という健康問題に対するその人の反応ということになる。複合的治療の開始にあたって,看護師はリンパ浮腫という身体的症状だけでなく,そこからもたらされる,その人の反応を包括的にとらえ診断し対処していくことが重要である。われわれ看護師が行うリンパ浮腫ケアのゴールは,リンパ浮腫患者が,不本意ながらも抱えることになってしまったリンパ浮腫を自らの体験として受け入れ,悪化を予防するセルフケア行動を習得し,症状をコントロールしながらリンパ浮腫とともに生きていける強靭な力を獲得させることである。したがって,看護活動は患者の自助力を支えエンパワーをすることである。ここでは,リンパ浮腫に苦しむ患者が,病を抱えながらも自分らしさを回復するプロセスとその支援について事例を通して紹介したい。.

 
※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)
 
 

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