シンポジウム1-3「 PAD治療における薬物療法(抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬など)の効果と限界」

5月26日(金)シンポジウム1「PADの早期発見・治療のための糖尿病診療」
3. PAD治療における薬物療法(抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬など)の効果と限界
座長 富田 益臣 (下北沢病院 糖尿病センター)
座長 柳瀬 敏彦 (福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科)
演者 西部 俊哉 (東京医科大学病院 心臓血管外科)

PADは全身の動脈硬化性疾患の一部分症であり、脳血管疾患や虚血性心疾患、腎機能障害などを高頻度に合併し、生命予後の悪い疾患である。そのためPADの薬物治療は1)生命予後を改善すること、2)下肢症状を軽減することの2つが目標となる。本邦ではPAD治療薬として厚生労働省から認可されている経口薬は欧米と比較して選択肢が豊富であり、効果と限界を十分に考慮して使い分ける必要がある。   

 1)全ての病期:無症状を含めて全ての病期において、心血管イベントの発生を抑制し生命予後を改善することが目標となる。TASC IIのような欧米のガイドラインではPAD患者にアスピリンやクロピドグレルのような抗血小板薬の投与が推奨されている。ただ、アスピリンは最近のメタ解析でPAD患者では心血管イベント抑制効果が認められないことや、脳出血のような重大な合併症が比較的多いことなどが指摘されている。

 2)間歇性跛行:シロスタゾールやベラプロスト、チクロピジン、サルポグレラート、イコサペント酸エチルは「潰瘍、疼痛及び冷感などの虚血性諸症状の改善」が効能・効果として記載されているが、虚血性症状として最も多く見られる間歇性跛行に関する記載はない。PubMedによる検索とその検索に関連して得た米国食品医薬品局の申請を整理すると、間歇性跛行に対する無作為化比較対照試験が行われた経口薬としてシロスタゾールやベラプロスト、チクロピジン、サルポグレラートがある。そのうち間歇性跛行についてエビデンスが示されているのはシロスタゾール、ベラプロスト、チクロピジンであり、さらにベラプロストとチクロピジンは心血管イベント抑制効果についてもエビデンスが示されている。

 3)重症虚血肢:重症虚血肢は自然予後を考慮すると、何らかの血行再建を行わないと救肢できず、血行再建を可能な限り行うべきである。しかし、全身状態が不良などで血行再建が困難な場合や血行再建の補助療法として薬物療法の適応となる。アルプロスタジル注射剤による薬物療法は虚血性潰瘍の縮小や大切断の減少が示唆されているが、重症虚血肢の治療効果をみるうえで最も良い指標であるAFSを改善しないという報告もみられる。しかし、アルプロスタジル注射剤以外推奨できる他の薬物療法が存在しないのが現状である。

 
※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)
 
 

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