教育講演3「慢性腎臓病患者における血管石灰化」

5月26日(金)教育講演3「慢性腎臓病患者における血管石灰化」
座長 吉川 公彦 (奈良県立医科大学)
演者 小林 修三 (湘南鎌倉総合病院)

腎機能低下に伴い心血管合併症の頻度が増加していることが知られ、透析導入時には症状の有無にかかわらず50% の患者に冠動脈狭窄がみられている。ましてや、患者が糖尿病であれば約90%に冠動脈狭窄を認める(Ohtake T, et al: J Am Soc Nephrol 2005)。また、脳の穿通枝の梗塞であるラクナ梗塞も、腎機能低下とともに増加する(Kobayashi S, et al: Am J Kid Dis 2004)。このように、慢性腎臓病(CKD)は心・脳血管障害と大きくかかわることがわかる。

CKD患者では早期の段階からインスリン抵抗性が惹起される(Kobayashi S, et al: Am J Kid Dis 2005)。グルコースクランプ法でみたブドウ利用率は血清クレアチニン値と負の相関を示し、腎機能が低下するにつれインスリン抵抗性が高まることになる。インスリン抵抗性があると、高血圧症や動脈硬化をきたしやすいことは広く知られている。

eGFRが45 mL/min/1.73m2以下のCKD stage 3bになると冠動脈石灰化を認める頻度が非常に高くなる(Kobayashi S, et al: Clin J Am Soc Nephrol 2008)。そして冠動脈石灰化に対して内因性NO合成酵素阻害物質であるADMA(asymmetric dimethylarginine)の血漿中濃度上昇とインスリン抵抗性が独立した寄与因子であった。

血管石灰化は内膜および中膜でみられ、内膜の石灰化は粥状動脈硬化(atherosclerosis)、中膜の石灰化はメンケベルグ型動脈硬化(arteriosclerosis)と呼ばれる。前者は心筋梗塞・狭心症や脳梗塞と深く関連し、後者は動脈壁の硬さに関係し、後負荷増大による左室機能低下や心不全に関係する。CKD患者では両者が認められるが、特に中膜石灰化はCKD患者で特徴的である。血管の石灰化は単なるカルシウムやリンの結晶が沈着するのではなく、血管平滑筋細胞が骨芽細胞様に分化してしまう能動的な変化である。カルシウム含有リン吸着薬をなるべく使用しない高リン血症のコントロールや、異所性石灰化抑制因子として作用するマトリックスGla蛋白を抑制してしまうワルファリンの使用を極力避けることが重要である。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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