教育講演1「糖尿病患者の歩行を守る」

5月26日(金)教育講演1「糖尿病患者の歩行を守る」
座長 市岡 滋 (埼玉医科大学)
演者 寺師 浩人 (神戸大学医学部形成外科)

演者は,糖尿病性足潰瘍の病因として挙げられる、
①.末梢神経障害(自律神経障害、運動神経障害、知覚神経障害)
②.末梢血管障害(末梢動脈性疾患、いわゆるPeripheral Arterial Disease=PAD)
③.感染症
から、創傷が陥っている病態を以下の4つに分類し治療方針を立てている。

病態分類(神戸分類)
Type Ⅰ:①主体の創傷で,PADがない
Type Ⅱ:②主体の創傷で,いわゆる重症下肢虚血(以下CLI)で、Fontaine IV度
Type Ⅲ:③主体の創傷で,軟部組織感染症や骨髄炎
Type Ⅳ:(①+)②+③で,感染を伴ったCLI

治療の骨格
Type Ⅰ:フットウェア優先
Type Ⅱ:末梢血行再建術優先
Type Ⅲ:デブリードマン優先
Type Ⅳ: 症例に応じて末梢血行再建術とデブリードマンの優先度を決定する

糖尿病性足潰瘍の治療の目的は,「歩行」を守ることであり,血流改善や創傷治癒はそのための手段に過ぎない.血流が改善しても創傷が治癒しない,創傷が治癒しても歩行できないならば,医療介入者は糖尿病患者の思いに応えたことにはならない.糖尿病患者の歩行を守ることこそが最大の使命であるが,その診断学,治療学,加えて歩行メカニズムの解明は,本邦では未だ道半ば(half way)である.神戸分類は,足病医不在のアジアにおける足病学への導入ツールである.

参考文献
・寺師浩人、辻依子:医学のあゆみ、240: 881-887、2011.
・寺師浩人:糖尿病性足潰瘍の100例,克誠堂出版,1-217,東京,2016.

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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